化学物質のリスクアセスメント|SDS活用と対策の進め方
化学物質のリスクアセスメント|SDS活用と対策の進め方
「化学物質のリスクアセスメントが義務化されたが、何をすればいいかわからない」
2024年4月から化学物質規制が全面施行され、リスクアセスメントの実施義務が強化された。対象物質も大幅に増加し、多くの事業者が対応を迫られている。
この記事では、化学物質のリスクアセスメントの進め方を解説する。SDSの読み方と具体的な対策方法を紹介する。
化学物質規制の最新動向
化学物質規制の概要と最新の法改正内容を紹介する。
法改正のポイント
2024年4月から「新たな化学物質規制」が全面施行された。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施行日 | 2024年4月1日 |
| 対象事業者 | 対象物質を取り扱う全ての事業者 |
| 適用業種 | 製造業、建設業、清掃業、小売業、医療福祉など全業種 |
対象物質の増加
リスクアセスメント対象物質が大幅に増加している。
| 時期 | 対象物質数 |
|---|---|
| 2022年12月まで | 674物質 |
| 2024年4月〜 | 約900物質(+234物質) |
| 2025年4月〜 | 約1,600物質(+約700物質) |
| 2026年4月〜 | 約2,900物質 |
主な義務化内容
1. 化学物質管理者の選任
- リスクアセスメント対象物を取り扱う事業場で選任が必要
- 製造事業場では専門的講習の修了者から選任
2. リスクアセスメントの実施
- 対象物質を取り扱う全事業者に義務化
- 事業規模に関係なく実施が必要
3. ばく露低減措置
- ばく露を最小限にすることが義務化
- 濃度基準値設定物質は基準値以下にする
4. 記録の保存
- リスクアセスメント結果を記録
- 最低3年間の保存が義務
SDSの読み方
SDS(安全データシート)は、化学物質のリスクアセスメントに欠かせない情報源だ。
SDSとは
SDS(Safety Data Sheet)は、化学物質の危険性・有害性情報を記載した文書だ。
16項目の構成:
- 化学品及び会社情報
- 危険有害性の要約
- 組成及び成分情報
- 応急措置
- 火災時の措置
- 漏出時の措置
- 取扱い及び保管上の注意
- ばく露防止及び保護措置
- 物理的及び化学的性質
- 安定性及び反応性
- 有害性情報
- 環境影響情報
- 廃棄上の注意
- 輸送上の注意
- 適用法令
- その他の情報
リスクアセスメントで重要な項目
特に以下の項目をしっかり確認する。
第2項:危険有害性の要約
- GHS分類とラベル要素
- 絵表示(ピクトグラム)
- 注意喚起語(危険/警告)
第8項:ばく露防止及び保護措置
- 許容濃度
- 管理濃度
- 保護具の種類
第11項:有害性情報
- 発がん性
- 生殖毒性
- 急性毒性
リスクアセスメントの進め方
化学物質のリスクアセスメントの5ステップを紹介する。
ステップ1:対象物質の特定
取り扱っている化学物質を洗い出す。
確認方法:
- 購入している製品のSDS収集
- 作業場で使用している化学物質のリスト化
- 対象物質に該当するか確認
対象物質の確認ポイント:
- ラベルにGHS絵表示があるか
- SDSが交付されているか
- 厚生労働省の対象物質リストに該当するか
ステップ2:危険性・有害性の特定
SDSを読み、化学物質の危険性・有害性を特定する。
確認項目:
- 健康有害性(発がん性、急性毒性など)
- 物理化学的危険性(引火性、爆発性など)
- 環境有害性
ステップ3:ばく露状況の把握
作業者のばく露状況を評価する。
評価項目:
- 取扱量
- 作業頻度・時間
- 作業方法(密閉/開放)
- 換気状況
- 保護具の使用状況
ステップ4:リスクの見積り
危険性・有害性とばく露状況からリスクを見積もる。
リスク見積り方法:
| 方法 | 概要 |
|---|---|
| マトリクス法 | 有害性と発生頻度でリスクレベルを判定 |
| コントロール・バンディング | SDSの情報と作業条件から対策レベルを決定 |
| 数理モデル法 | ばく露濃度を計算し、許容濃度と比較 |
厚生労働省のツール:
- 「CREATE-SIMPLE」(無料のリスク評価ツール)
ステップ5:リスク低減措置の実施
リスクに応じた対策を実施する。
対策の優先順位(上位ほど優先):
| 順位 | 対策 | 例 |
|---|---|---|
| 1 | 危険有害性の除去・代替 | 有害性の低い物質への変更 |
| 2 | 工学的対策 | 局所排気装置の設置、密閉化 |
| 3 | 管理的対策 | 作業手順の改善、ばく露時間短縮 |
| 4 | 保護具の使用 | 防毒マスク、保護手袋の着用 |
記録と周知
リスクアセスメントの結果は記録し、関係者に周知する義務がある。
記録すべき内容
- 対象物質名
- 危険性・有害性の特定結果
- リスクの見積り結果
- ばく露低減措置の内容
- 実施日・実施者
保存期間
- 最低3年間の保存が義務
- 次のリスクアセスメント実施まで保存
労働者への周知
- リスクアセスメント結果を関係労働者に周知
- 作業場への掲示、教育訓練など
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まとめ
化学物質のリスクアセスメントは、2024年4月から全面施行された。
法改正のポイント:
- 対象物質が約2,900物質に拡大(2026年)
- 化学物質管理者の選任が義務化
- ばく露低減措置と記録保存が義務化
SDSで確認すべき項目:
- 第2項:危険有害性の要約
- 第8項:ばく露防止及び保護措置
- 第11項:有害性情報
リスクアセスメント5ステップ:
- 対象物質の特定
- 危険性・有害性の特定
- ばく露状況の把握
- リスクの見積り
- リスク低減措置の実施
対策の優先順位:
- 危険有害性の除去・代替
- 工学的対策
- 管理的対策
- 保護具の使用
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